夜寝ているときや、背伸びをしたときなど、ふくらはぎに突然走る激痛。多くの妊婦さんが、こむら返りを経験したことがあるのではないでしょうか。
通常は数十秒〜数分以内に痛みは落ち着くものの、自分の意思とは関係なく起こる筋肉の痙攣(=こむら返り)に、びっくりしてしまいますよね。再発を繰り返すことで、「眠るのが怖い」と感じてしまう妊婦さんもいるでしょう。
そこで今回は、こむら返り(足の攣り)の原因や対策について分かりやすく解説したいと思います。
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こむら返りとは
「こむら」とは、「ふくらはぎ」を意味します。
ふくらはぎの筋肉に起こる、痛みを伴う痙攣のことをこむら返りといいます。ちなみに、医学的には有痛性筋痙攣・筋クランプ(muscle cramp)と表現します。
妊娠中期以降は、様々な理由からこむら返りを起こしやすくなりますが、ふくらはぎ以外にもスネや足の裏など、他の部位を攣ってしまうことも少なくありません。
こむら返りの原因
こむら返りの明らかな原因を特定することは難しいですが、以下のような理由が考えられます。
- 疲労
(全身疲労・筋肉疲労) - 発汗・脱水症状
- 身体の冷え
- 柔軟性の低下
- ミネラル不足
(カルシウム・マグネシウムなど) - 特定の病気
(肝硬変・糖尿病・甲状腺疾患など)
なお、妊娠中期以降の妊婦さんの場合、以下のような原因も考えられます。
- 大きくなった子宮が下大静脈を圧迫するため血液循環が悪くなっている。
- 体重増加により下肢への負担が大きくなっている。
妊娠中は運動不足になったり、お腹が大きくなることで身体の可動範囲が小さくなったりするため、筋肉の柔軟性が低下する(=身体が硬くなる)ことも原因の一つとして考えられますね。
こむら返りの予防
妊娠中のこむら返りを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、効果的と思われる方法はたくさんあります。
私も経験していますが、ホームケアを入念に行うようになってからは、再発を繰り返すようなことはなくなりました。
適切な水分補給
妊娠中は新陳代謝が活発になり、汗をかきやすくなります。また、体内の血液循環量が約1.5倍に増えるため、こまめな水分補給が大切になります。
隠れ脱水の妊婦さんも多いようです。喉が渇いてからでは遅いので、喉が渇く前に、少量ずつ口にする習慣を身につけましょう。
脱水も冷えもこむら返りのリスクを高めます。身体を冷やさないよう、温かくてカフェインを含まない飲み物を選んでくださいね。
ミネラルの摂取
筋肉の収縮には、マグネシウムとカルシウムという主に2つのミネラルが大きく関与しています。
このうちマグネシウムは、カルシウムよりも発汗によって失われやすく、普段の食事においても不足しがちな栄養素です。
そしてこのマグネシウムが不足し、ミネラルバランスが乱れると、こむら返りを起こしやすくなると言われています。
まずはバランスの良い食事を心がけた上で、サプリメントを上手に活用し、必要な栄養素を付加的に摂取しましょう。
アーモンド・ごま・豆腐・納豆・わかめ・ほうれん草・ひじき・いわし・玄米など
おすすめのサプリメント
私のおすすめは、マグネシウムだけではなく必要なミネラルを理想的なバランスで摂取できるマルチミネラルサプリメントです。
DHCやディアナチュラなど、大手サプリメントメーカーのマルチミネラルは、互いに補い合って働く10種類のミネラルがバランス良く配合されています。妊婦さんには欠かせない鉄も7.5mg摂取できますよ。
ミネラルだけでなく、妊婦さんが積極的に摂取したい栄養素を一度に補えるマルチサプリメントもいいですね。私が現在も愛用しているのは、ファンケルから新しく発売されたママルラです。妊娠前・妊娠期・授乳期の女性を対象として開発されたコスパ抜群のサプリメントです。
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ママルラに関するレビュー記事も書いているので、興味のある方は是非参考にしてくださいね。
全身のストレッチ
疲労回復と柔軟性の向上(身体を柔らかくする)のために、ゆったりとストレッチを行いましょう。お風呂上がりや就寝前に、リラックスできる環境を整えて行うのがいいですね。
反動をつけずに、自然な呼吸を意識しながら、1部位につき30秒程度の時間をかけて念入りに行いましょう。
立ちっぱなしの時間が長かったり、たくさん歩いたりした日には、下肢への負担も大きくなります。疲労を残さないためにも、こむら返りの予防のためにも、日々の習慣として定着できたらいいですね。
足裏のケア
筋肉は、筋膜という薄い膜に包まれています。そしてこの筋膜は、ウェットスーツのように身体中に張り巡らされており、身体を支えるひとつの要素として重要な役割を果たしています。
その筋膜という視点から見ると、身体の後ろ側にある筋肉たちは繋がっており、それらの終着地点が足の裏になっています。
つまり、足裏をゆるめてあげることで、繋がっている背部の筋肉たち(肩・背中・腰・お尻、もも裏・ふくらはぎ)をゆるめることができるのです。
- 竹踏みを踏む
- 足つぼマットを踏む
- ゴルフボールを踏みつけたり、足裏で転がしたりする
- 両手で揉むようにマッサージをする
こむら返りを起こすふくらはぎの筋肉が緊張しないよう、やりやすい方法で足裏をほぐしてあげましょう。
ただし、大きなお腹で足もとが見えづらくなっていたり、重心の変化により転びやすくなっていたりするので、立位で行う場合は必ずどこかに掴まって転倒しないように注意しましょう。
冷え対策
妊娠中は暑がりになる妊婦さんも多いと思います。
実際に、夏日にサーモグラフィーで検証したところ、妊婦さんの上半身(体表面)は真っ赤になるほどその温度が上昇しており、筋肉量の多い男性よりも高かったという報告もあります。
しかし、お腹より下の部分に関しては冷えやすいという傾向が見られます。季節を問わず、下半身に関しては冷やさないための工夫が必要になります。冷えはこむら返りの原因ともなり得るので、日頃から気をつけておきたいですね。
おすすめのアイテム:VENEX
私が昔から愛用しているのが、リカバリーウエアで大人気のVENEXです。アスリートの間で話題の疲労回復アイテムですね。
足のむくみ対策といえば、メディキュットをはじめとした着圧タイプのタイツやソックスを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、VENEXのレッグコンフォートは身体を締めつけることがなく、ゆったりと着用できます。それでいて効果を実感できるので、今でもその使用感には感動しますね。
シムスの体位
あお向けで重い布団をかけて寝ると、つま先が伸びた状態(=ふくらはぎの筋肉が収縮した状態)が続いてしまいます。そうすると、こむら返りを起こすリスクが高くなります。
また、妊娠中期以降の妊婦さんがあお向けで寝ると、血圧の低下を起こしやすくなります(仰臥位低血圧症候群)。
そこでおすすめの寝方が、「シムスの体位」です。
- 身体の左側を下にして横になる。
- 下にある左足は真っ直ぐ伸ばす。
- 右足は付け根も膝も曲げた状態にし、曲げた膝はベッドの上に倒す。
- お腹に負担が掛からない程度に、少しうつ伏せ気味に体をかぶせる。
抱き枕を抱えるようにすると、安定します。産後も長く使える3WAYタイプが便利です。
体重管理
急激な体重の増加は下肢への負担も大きくします。バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。
医師に相談
連日睡眠に影響が出るほどつらい場合には、医師に相談しましょう。症状に応じて、漢方薬などを処方してくれるかもしれません。有名なのは、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。
こむら返りに対する処置
こむら返りを起こしてしまったら、応急処置として患部を伸ばしてあげましょう。
アキレス腱を伸ばすように、つま先を手前に引いて、かかとを遠くに押し出すイメージで行います。ただし、無理矢理伸ばしてしまうと肉離れを起こす可能性もあります。少しずつ、ゆっくりと伸ばすようにしましょう。
痙攣がおさまった後も痛みが引かない場合には、アイシングも効果的です。氷嚢やビニール袋に氷と少量の水を入れ、患部に当てます。冷やし過ぎないように気をつけて、様子を見ながら10分程度行いましょう。
まずは予防のために、できることから始めてみてくださいね。