虫の活動が活発になる季節、赤ちゃんのための虫よけに気を遣うママも多いでしょう。大人に比べ、赤ちゃんの虫さされは症状がひどく、長引きやすいものです。
腫れやかゆみのために赤ちゃんがその箇所をかき壊してしまうと、とびひ(伝染性膿痂疹)につながってしまう可能性もあります。
- 赤ちゃんに虫よけは必要?
- アロマやアウトドアスプレーで虫よけはできる?
- 虫よけシールは効果があるの?
- ディートって怖いもの!?
そこで今回は、赤ちゃんとの外出を楽しめるように、ママができる「正しい虫よけ」について詳しく解説したいと思います。
すぐに読める目次
虫よけ剤の有効成分の違い
世界的に最も多く使用され、日本では半世紀以上活用されている薬剤が、【ディート】です。しかし最近は、アロマなど天然由来成分の人気が急上昇しており、【ディート不使用】という表記をよく見かけるようになりました。
それどころか、蚊・ブヨ・マダニ・ツツガムシなど、一番多くの虫に対して効果を発揮してくれる心強い味方なのです。
アロマやオーガニック製品が肌にやさしいと言われても、肝心の虫よけ効果がなければ意味がありません。各成分の特徴をよく理解し、ふさわしいものを利用すべきでしょう。
ディートの基本情報
ディートについては、厚生労働省より安全に使用するための条件が提示されています。
厚生労働省より
- 漫然な使用を避け、蚊・ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用する。
- 小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。
・ 6か月未満の乳児には使用しない。
・ 6か月以上2歳未満は、1日1回。
・ 2歳以上12歳未満は、1日1~3回。 - 顔には使用しないこと。
- 目に入ったり、飲んだり、なめたり、吸い込んだりすることがないようにし、塗布した手で目をこすらないこと。
公式ページより一部抜粋
日本では生後6ヶ月以降の使用を推奨していますが、アメリカでは生後2ヶ月から使用可能となっているそうです。
ディートの効果持続時間
(12歳未満は12%以下の商品を推奨)
(12歳未満は使用しない)
虫よけ剤の使用方法や使用上の注意をよく確認し、赤ちゃん(生後6ヶ月以降)には濃度10%以下のものを使うように気をつけましょう。
ディートの効果
ディートは国内外で長年の実績があり、多くの虫に対してその効果を発揮します。しかし、前述のように年齢や使用回数に制限があります。
蚊・ブヨ・マダニ・アブ・イエダニ・ノミ・サシバエ・トコジラミ(ナンキンムシ)・ツツガムシ
イカリジンの基本情報
ドイツで開発された虫よけ成分で、ディート同等の効果を期待されています。使用にあたって年齢制限はなく、赤ちゃんから高齢者まで安心して使用できます。
イカリジンの効果持続時間
濃度15%で6〜8時間
イカリジンの効果
イカリジンは肌への刺激が少なく、虫よけ特有の匂いが少ないのも特徴です。また、服の繊維や樹脂を傷めないので、服の上からでも使用できます。
蚊・ブヨ・マダニ・アブ
ディートほど多くの虫には対応していませんが、年齢制限がなく新生児から使えるので、使い勝手はとても良さそうですね。
天然由来成分
アロマオイルやハーブなど、虫が嫌がる香りを活用した天然由来の虫よけが人気を集めています。
新生児から使用できる商品も多く、化合物を使用していないということで「赤ちゃんに優しい」というイメージが定着しています。
ただし、天然由来であっても年齢制限がある場合もあります。たとえばレモンユーカリオイルは、3歳未満の乳幼児には使用禁止とされています。
必ずしも「天然=安心」ではないことを理解しましょう。
天然由来の虫よけの効果持続時間
天然由来の虫よけ剤の場合、その効果持続時間は成分によりますが、おおむね20分〜1時間程度と言われています。また、汗をかくとその効果は減弱します。
室内での使用や、散歩など短時間の外出時の使用には向いているかもしれませんが、遠足やアウトドアなど、虫にさされる可能性が高い環境では、ディートやイカリジンを使用すべきでしょう。
虫よけリング・シール
気軽に使えるシールタイプや、アクセサリー感覚で身につけられるリング型の虫よけも人気ですが、これらもアロマオイルや香料が有効成分として使われています。
ただし医科学的根拠には乏しく、その効果が認められた論文は現時点では見当たりません(2020年1月)。
虫よけ剤の選び方・使い方
はっきりとした効果を狙うなら、ディートかイカリジンのどちらかを使用すべきでしょう。赤ちゃんの肌に直接塗布するものとして、天然由来のものを好む方も多いと思いますが、虫に刺されてしまっては本末転倒です。
イカリジンは新生児から使える
イカリジンの使用に年齢制限はありません。ディートは生後6ヶ月以降に使用しましょう。
生後6ヶ月未満 | イカリジンを使用 |
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生後6ヶ月以降 | イカリジン/ディートを使用 |
もう少し具体的に、考えてみましょう。
日常的な外出での虫よけ
近所の散歩や日用品の買い出しなど、虫さされのリスクが低い状況においては、イカリジンがおすすめです。
赤ちゃんが虫よけ成分を吸い込むことがないように、スプレータイプよりも、ジェルやローションタイプを使用しましょう。ママの手に取り、よく伸ばしてから赤ちゃんの肌に塗布してください。
最近では、虫よけと日焼け止めの1本2役の製品も人気を集めています。人気上昇中のアウトドアスプレーなどがこれに当たりますが、本来、日焼け止めと虫よけ剤の効果が持続する時間には違いがあります。
本来は塗る頻度が違うものなので、日焼け止めに合わせて1本2役のものを塗り過ぎてしまうと肌への負担が大きくなります。
アウトドア・キャンプでの虫よけ
自然が多い場所で、蚊以外にも色々な虫が活動しているような環境では、生後6ヶ月以降に限りディートを使用するのがいいでしょう。
虫よけについての注意
虫さされの予防のためには、以下のようなことに注意しましょう。
- 虫よけ剤だけに頼らず、虫の多い場所に行く際には肌を露出しない服装を心がける。
- 日焼け止めを使用する場合には、日焼け止め→虫よけの順番に塗布する。
- 顔や首筋には直接かけず、虫よけ剤(ディート以外)を一度手に取りよく伸ばしたあと、顔に塗布する。
- ディートは顔に使用しない。
- 舐めたり、目をこすったりする可能性があるため、乳幼児の手指には虫よけ剤を塗らない。
- 乳幼児が虫よけ成分を吸い込まないように、スプレータイプよりもローションタイプ・ジェルタイプが望ましい。
- ウェットティッシュタイプの虫よけは、日焼け止めまで拭き取らないように気をつけなければならない。
- 日焼け止めと虫よけ剤の2役をこなす製品は、長時間の使用には向かないことを理解する。
赤ちゃんへの使用にあたっては、「天然由来か?化合物か?」という見方をするのではなく、「赤ちゃんを虫さされのリスクからどう守るべきか?」という視点から選ぶことが大切ではないでしょうか。
天気の良い日に外の空気を楽しめるよう、虫よけ剤を上手に活用したいですね。