離乳食と補完食って、何が違うの?
補完食(Complementary Feeding)については、日本語に訳されたガイド書もあるので、興味のある方は読んでみるといいでしょう。
しかし離乳食についても、厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイド」が平成31年3月に改訂され、日本人の食生活にマッチする内容にまとめられています。
授乳・離乳の支援ガイド
(厚生労働省-2019年改訂版-)
授乳・離乳の支援ガイドとは、産前産後のママや赤ちゃんに関わる保健医療従事者が基本的事項を共有し、適切な支援を進めていくことを目的に作成されたものです。
平成19年3月から活用されてきましたが、最新の知見が盛り込まれた改訂版が、今回12年ぶりに発表されました。
離乳食が始まると、子育てに関する悩みが一つ増えてしまったと感じる方も多いのではないでしょうか。
- 離乳食の進め方は?飲み物は?
- 特に大事な栄養素は?
- 鉄が大事って聞いたけれど…
- 家庭でできるアレルギー対策は?
そこで今回は、赤ちゃんの離乳食を進める上で特に気にかけたいポイントについて、厚生労働省の離乳ガイドに基づきながらまとめたいと思います。
WHOが推奨する補完食の進め方についても、参考にしたい部分を合わせて紹介しますね!


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離乳食と授乳
離乳食を始めてからも、母乳・粉ミルクは授乳のリズムに沿って、赤ちゃんが欲するままに与えてあげましょう。
離乳食も完了期(1歳〜1歳半頃)になると、母乳の栄養学的な役割は終了し、赤ちゃんにとっては精神安定剤のような役割がメインになってきます。
昔の母子手帳には1歳6ヶ月までに卒乳を促すような記載がありましたが、現在はそのような考え方は否定されています。また、WHO(世界保健機関)は2歳頃までの母乳育児の継続を推奨しています。
赤ちゃんの成長や発達、離乳の進行状況や家庭環境によって、卒乳の時期には個人差が出てきます。
卒乳の時期に関して、人と比べる必要はありません。赤ちゃんと向き合いながら、ベストな時期を探りましょう。
母乳と食物アレルギー
赤ちゃんの湿疹や食物アレルギー・ぜんそく等のアレルギー疾患の予防のために、妊娠中・授乳中のママが特定の食品やサプリメントを過剰に摂取したり、避けたりすることに関する効果は示されていません。
離乳食を始める時期
日本では生後5〜6ヶ月頃が、離乳食の開始に最適な時期とされています。
- 首がすわっている
- 支えがあれば、お座りができる
- よだれが増えた
- 口をモゴモゴ動かす
- 大人が食べる様子に興味を示す
- 体調や機嫌が良い
- スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
離乳食を開始する時や、はじめての食材を与える時は、平日の午前中が望ましいといわれています。
アレルギー症状など、赤ちゃんに何らかの反応が見られた際に、医療機関を受診しやすくなるためです。
赤ちゃんの飲み物について
離乳食開始前の赤ちゃんにとって、最適な栄養源は乳汁(母乳・粉ミルク)です。
その時期に、果汁(フルーツジュース)やイオン飲料を与えることの栄養学的な意義は認められていません。
むしろそれらを日常的に与えることでの弊害が注目されています。肥満や虫歯のリスクが上昇するとも言われています。
イオン飲料の多量摂取による乳幼児のビタミン B1欠乏が報告されています。
授乳期・離乳期を通して基本的に摂取の必要はなく、必要な場合は、医師の指示に従うことが大切です。
なお、蜂蜜は乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、1歳未満の赤ちゃんに与えてはいけません。
牛乳貧血に要注意
鉄欠乏性貧血の予防のためには、飲料として牛乳を与えるのは1歳を過ぎてからが望ましいとされています。
牛乳には、鉄分がほぼ含まれていません。
生後6か月頃から飲料としての牛乳を与えられた赤ちゃんは、母乳やミルクの乳児に比べて「1歳の時点で明らかに鉄欠乏が2倍も見られた」という報告があります。
早期から牛乳を与える酪農国では、鉄欠乏症が問題になっているようです(離乳食の材料として使用するのは問題ありません)。
1歳を過ぎてからも、牛乳の飲み過ぎでお腹がいっぱいになってしまい「他の食材を口にできない」ということがないように気をつけましょう。
赤ちゃんの鉄欠乏対策〜鉄強化の離乳食〜
赤ちゃんはもともと、ママから受け取った鉄分を体内にストックしています。
しかし生後6ヶ月頃になるとそれが底をついてしまうため、離乳食で十分な鉄を摂取する必要があります。
母乳に含まれる鉄分も、産後直後に比べて6割程度に減少してしまうと言われています。
そのため、母乳育児の赤ちゃんは生後6ヶ月の時点で、ヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすいという報告があります。

また、ビタミンD欠乏の指摘もあることから、母乳育児を行っている場合は適切な時期に離乳食を始め、鉄やビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取することが大切です。
赤ちゃんの脳はさらに多くの鉄を必要としてくる時期なので、不足してしまうと脳の発達にとっては深刻な事態となってしまうんですね。
ヘム鉄と非ヘム鉄
食べ物に含まれている鉄には、へム鉄と非へム鉄の2種類があります。
吸収率が高いのはヘム鉄です。
へム鉄:
肉や赤身の魚に含まれる
非ヘム鉄:
牛乳や卵・野菜などに含まれる
へム鉄は、摂取したうちの約25〜30%が体内に吸収されると言われています。これに対し、非へム鉄は約5〜7%程度しか吸収されません。
へム鉄・非へム鉄のどちらを摂る場合でも、鉄の吸収を高めてくれるビタミンCやたんぱく質を同時に摂取することが大切です。
栄養の宝庫といわれる鶏レバーは、生後7ヶ月頃から口にすることが可能です。
離乳食には優秀な食材と言われているので、是非活用して下さい。

市販のベビーフードでも鶏レバーを使用した商品を多く見かけるのは、こういった理由があるからなんですね。
鶏レバーの使い方
鶏レバーでレバーペーストを作っておくと便利です。下処理が必要なので、一度にたくさん作って冷凍保存しておきましょう。

- 適度な大きさにカットし、流水で血を洗い流します。スジや黄色い脂肪も取り除いておきましょう。
- 牛乳に20分程度漬け込みます。
- もう一度水で洗い流します。
- 沸騰したお湯に入れ、中まで火が通るように茹でましょう。
これで下処理は完了です。
私の場合はその後にミキサーにかけてペースト状にし、小分けに冷凍保存しています。
赤ちゃんの鉄の推奨量(mg/日)
月齢別の推奨量を確認しましょう。
年齢 | 男児 | 女児 |
0〜5ヶ月 | 0.5 | 0.5 |
6〜8ヶ月 | 5 | 4.5 |
9〜11ヶ月 | 5 | 4.5 |
厚生労働省「乳児の食事摂取基準」より
乳児は生後6ヶ月頃までは母乳やミルクで必要な鉄量を得ることができるといわれていますが、それ以降は離乳食で積極的に補う必要があります。
鉄が強化された市販の離乳食(ベビーフード)
鉄が強化された市販の離乳食は、生後9ヶ月以降を対象としたものばかりです。
しかしおやつの場合は、生後6ヶ月以降の赤ちゃんを対象としたものも販売されています。
買いものの際は、店頭で「鉄分入り!」と記載された商品を探してみましょう。
鉄が強化された赤ちゃんのおやつ
鉄が強化されたベビーフード
生後9ヶ月以降の赤ちゃんを対象とした市販のベビーフードには、鉄を強化したものも多く販売されています。
私が日頃活用しているのは、手作りの離乳食でも鉄を補給できる赤ちゃん用のふりかけです。
もちろん、鉄が強化されたベビーフードもあります。一食分にどのくらいの鉄分が含まれているか、パッケージで確認しましょう。
鉄が強化された離乳食の定期便
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食物アレルギーの予防
食物アレルギーとは、特定の食物を摂取した後にアレルギー反応を介して、皮膚・呼吸器・消化器あるいは全身性に生じる症状のことをいいます。
- 遺伝的素因
- 皮膚バリア機能の低下
- 秋冬生まれ
- 特定の食物の摂取開始時期の遅れ
食物アレルギーの発症を心配して、離乳食の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はありません。
予防のためには正しく離乳食を進めることと、早い時期から全身の保湿ケアをしっかりと行い、肌のバリア機能を高めてあげることが大切です。

卵アレルギーの予防
2017年、日本小児アレルギー学会は、子どもの鶏卵アレルギーの発症予防として、生後6カ月から卵を少しずつ食べさせることを推奨する「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」を医療関係者に向けて発表しました。
それまでは、「離乳食は遅らせた方が良い」・「アレルギーの心配がある卵やピーナツなどは避けるべき」と考えられていました。
しかし2008年、米国において「離乳食の開始には最適な時期(4~7ヶ月)があり、早過ぎても遅過ぎてもアレルギーなどの疾患を増やす」と報告されました。
離乳食の進行に関して心配がある場合は、健診や予防接種の際に医師に相談しましょう。
赤ちゃんの一食あたりの卵の使用量
卵の食べさせ方には慎重になる方も多いでしょう。赤ちゃんの反応を見ながら、表を参考に進めてみてください。
生後6ヶ月 | 卵黄を少量 |
---|---|
生後7〜8ヶ月 | 卵黄1〜全卵1/3 |
生後9〜11ヶ月 | 全卵1/2 |
生後12〜18ヶ月 | 全卵1/2〜2/3 |
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイドより
ただし、離乳食を進めるにあたり食物アレルギーが疑われる症状がみられた場合、自己判断で対応せず必ず医師の診断に基づいて進めることが大切です。
体験談:ミルクアレルギーの予防
娘の3ヶ月健診で、かかりつけの小児科医からミルクアレルギーに関する最新情報を耳にしました(2019年)。
最近の学会で、「完全母乳で育てた赤ちゃんよりも、粉ミルクを飲んできた赤ちゃんの方が、乳製品を解禁したときのアレルギー発症率が低い」という発表があった。
「栄養という観点からは、母乳は素晴らしい。しかし、アレルギーという観点からは、混合あるいは粉ミルクの方がミルクアレルギーの予防にはなるかもしれない。」
エビデンスがすべてとは思いませんが、娘は完全母乳で育てていたので、これを機に時々粉ミルクを飲ませてみようかと考え始めました。
しかし哺乳瓶を嫌がりあっけなく拒否されてしまったので、離乳食作りに粉ミルクを活用しようと思い立ちました。
ですからそれまでの離乳食初期(生後5〜6ヶ月)に、粉ミルクを使った離乳食を口にさせておこうという作戦ですね。
離乳食に粉ミルクを活用するメリット
粉ミルクを離乳食に活用するメリットは、他にもたくさんあります。
- ミルク味にすることで、まろやかな味わいになる。
- 離乳食のバリエーションが増える。
- 離乳食だけでは足りない栄養素(たんぱく質、鉄、DHA、ARAなど…)も補える。
- 長期保存が不可能な開封後の粉ミルクを捨てずに活用できる。
葉野菜など苦みのある食材を食べさせるとき、ペースト状にした小松菜やほうれん草に粉ミルクを混ぜてあげると、赤ちゃんも食べやすくなります。
娘もミルクを足して食べることに慣れてから、「100%ほうれん草」に移行という進め方にしたら、嫌がらずに食べてくれるようになりました。
粉ミルクを加えることで栄養価も高くなるので、是非試してくださいね。
【レシピ】ほうれん草のミルクピューレ
離乳食初期向けの粉ミルクを活用したピューレです。ほうれん草だけでなく、小松菜や白菜・キャベツにも応用できます。
作り方
ほうれん草をくたくたになるまで茹でます。
ごっくん期の赤ちゃんには、すり潰して裏ごしし、滑らかにしてあげましょう。
分量のお湯で溶かした粉ミルクを合わせます。
粉ミルクを足す分、出来上がりの量も多くなるので、食べきれない分は小分けに冷凍しておきましょう。
我が家では、「明治ほほえみ らくらくキューブ」を活用しています。
キューブライプは計量いらずで時短になります。離乳食には少しずつ使いたいので、長期保存が可能な点も大きな魅力ですね。
まとめ:離乳食と補完食
日本では、栄養源を母乳やミルクから切り替えるための食事として「離乳食」という表現が用いられています。
しかしWHOのガイドラインでは、母乳に足りない栄養素を補うための食事として、離乳食のことを「補完食」と表現しています。
詳しくははこちら
▼ ▼ ▼
我が国の一般的な離乳食とWHOが推奨する補完食の進め方や内容には異なる部分も多く見られます(食文化の違いも反映されています)。
しかし、それぞれの地域で入手できる食材を使ってエネルギーや栄養素をしっかり摂取すべきという点に違いはありません。
特に、鉄の重要性については日本よりも強調されています。
- 卒乳の時期には個人差があり、早期に実施する必要はない。WHOは2歳頃までの母乳育児を推奨している。
- 赤ちゃんのアレルギー予防のために、授乳中の母親が特定の食品を極端に避けたり、過剰に摂取したりする必要はない。
- 離乳食開始前の赤ちゃんに、母乳や粉ミルク以外の飲料を与える必要はない。
- 離乳食は、適切な時期に開始すべきである。
- 飲料としての牛乳を与えるのは、1歳を過ぎてからが望ましい。
- 離乳食開始とともに、積極的に鉄分を摂取させることが重要である。
赤ちゃんがすくすくと成長していくためには欠かせない、家庭での食育。大切なポイントをおさえて、将来的にも一緒に食事を楽しめるように導いてあげたいですね!
